タイトル:日ざかり村に戦争がくる
原題:Los años difíciles
文:フアン・ファリアス
絵:堀越千秋
訳:宇野和美
出版社:福音館書店、2013
サイズ:16x21cm、ハードカバー
ページ数:88ページ
対象:小学校高学年から
ISBN: 9784834027648
ちっぽけで何もない村に、ある日戦争がやってきた。
しずかに、ゆっくりと、なにくわぬ顔をして
1930年代、内戦下のスペインを描いた、20世紀スペイン児童文学を代表する作品のひとつです。
行間を読むような、独特の文体で、内戦の、戦争のおそろしさを浮かび上がらせています。
すでに絶版になってしまっている本ですが、出版していただけたおかげで、日本の読者に届けることができて感謝しています。手元にあるだけ放出します。
よろしければ手にとってみてください。
堀越千秋さんに挿絵がみごとです。
日ざかり村はあまりにもちっぽけで、あまりにもへんぴなところにあったので、戦争をしかけた将軍の目のとまらなかった。
けれども、戦争はあった。
戦闘は、よその村であった。山のむこうの、だれも知らない、はるか遠い町で。
それでも、だんだんとパンがかたくなり、なかなかとどかなくなった。
おとなたちは神経をとがらせながら、もくもくと働いた。だれもが息をひそめ、日曜日の鐘さえも鳴らなくなった。
(pp.21-22)